Vol.004 技工士の悲劇
こんにちは。株式会社ワイズデントの山田です。
新入社員のわたくしですが、業務にも少しずつ慣れてきました。新しい仕事や取り組みも増え、自分の責任も感じてきつつある今日この頃です。(←特にこのブログの責任重大さにいまだ震えております)
さて、当社ではメインである歯科技工部門で、顧客満足度を高め、さらに生産効率もあげるために行っている手法があります。
「生産効率を上げるなら当然分業制だろう」と思われるでしょうか。
実は当社では、基本的にひとりの技工士がトリミングから完成まで一人で対応する『一個流し』という生産手法を行なっています。
多くの大企業で行われるように、流れ作業のライン生産方式で製作した方が効率がいいように思われますが、実はその逆なのです。
その理由は大きく2つあります。
ひとつは、一人で生産するので前工程から部品が来るのを待つ時間がありません。
そしてもうひとつは、ひとりで完結した方がよりその技工物に対する責任感とやる気が上がるからです。
突然ですが、『椅子職人の悲劇』という話を知っていますか?
私はこの会社に入社した時に、当社の取り組み、また日々の業務を学ぶ中で初めて耳にした言葉です。
(初めて多いな・・・日々是精進・・・)
これは、手作りの椅子をひとりですべて組み立てて売る職人は『顧客満足度』に敏感で、より自分の技術やデザインを磨く努力をするが、大量生産するために『分業制』が導入されると職人たちは機械のように働くことになり、結果やる気が失われて顧客の声に鈍感になっていくという話です。
たしかに!って感じですよね。
その椅子に座るお客様のことをイメージしながら職人さんがひとつの椅子を手掛けるからこそ、その椅子にかける情熱や技術がさらに増していく。そしてそこに誇りや気概を感じていく。
なのにそんな情熱や技術を持った職人さんたちに
「あなた背もたれだけ作って」
「あなたは脚だけね」
そんなパーツを作るだけの機械的な仕事をさせると、当然お客様のイメージも湧かないですし、何よりやる気も失っていくと思います。
『椅子職人の悲劇』・・・たしかに悲劇ですね。
当社の情熱と技術を持った社員が、そんな椅子職人ならぬ『技工士の悲劇』を生み出さないよう、そして何よりお客様を思った製品づくりを続けられるように、ひとりの技工士が責任を持って完結して技工物を作っています。